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萩広史は都内在住、54歳になるレストラン経営者のオーナーシェフで、プライベートでヴィンテージワインを1万本以上も収集しています。ヴィンテージワインのコレクションはマス層の人間でも行えるプチ贅沢な趣味ですが、せいぜい数十本程度を保管できるワインセラーに納まる程度のパターンが大半です。なぜ萩広史は1万本以上収集するほど、ヴィンテージワインに夢中になっていったのでしょうか?

萩広史が最初にワインに魅せられてしまったきっかけは、二十歳のときで、父親の影響です。父親は業務用冷蔵庫のようなワインセラーに100本程のワインを保有しており、誕生日イベントや大事な友人との集まりといった席で誇らしげにワインを振舞う姿を、萩広史は見て育ちました。そして萩広史の大学入学祝の一つとして父親から贈られたのが、1961年産のボルドーワイン「マルゴー・マグナム」でした。1961年は萩広史の生まれ年であり、2年後に成人を迎えるときに一緒に飲もう、ということでした。18歳という未成年でワインのプレゼントに少し困惑しましたが、2年も待って飲んだ時、あまりの奥深い味わいに驚いただけでなく、自分と同い年のワインがとても愛おしく感じ、同時に、父親がとても幸せそうにデカンタージュする姿を見て、自分がいかに長い間愛されていたのかを実感し、ヴィンテージワインにしかない、奥深い味わいと感動の付加価値の魅力にすっかりはまってしまったのです。

ちなみに1961年のボルドーがヴィンテージワインの大当たり年(ブドウの実が成熟する夏から秋まで好天に恵まれることで味が凝縮・高い糖度になり、秋の収穫前に雨が降らず、果実が水っぽくならずに済んだ年)であること、そしてその金額が、大学入学祝で同時にプレゼントしてもらったオーダスーツ3着分以上にもなることは、萩広史は後から知ったのです。また、プレゼントされてから2年待ったことでより熟成も進み、香りもより良くなり、色もより熟成したレンガ色になったと言えるので、熟成させる大切さを、身をもって経験したのです。

いくら天候に恵まれていても生産者や保存状態の違いでも差が出てくるので、同じ年のヴィンテージワインでも様々な奥深さの違いがありますし、それに加えて、味わうシチュエーションは一生に一度しかありませんから、ヴィンテージワインは言わば全て一期一会なのです。萩広史はその魅力にすっかり夢中になってしまったのです。

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